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研究成果がNature Medicineに掲載

「これって誰のこと?」 →「私 笠木伸平のことです」世界最高の科学雑誌であるNatureに掲載されているネタで2回ほどコラムを書いたので、たまに自分の研究のことも掲載します。このたび、研究成果が英語論文の形で、世界最高の医学系雑誌であるNature Medicineに掲載されることになりました。

 

こういうことは、一生に一回あるかどうか、すなわち、ほんの一部の優秀な研究の成果しか掲載されないことを考えるととてもハッピーですし次への意欲が湧いてきます。

 

今回の論文のタイトルは「D-マンノースは制御性T細胞を誘導し炎症を抑える」です。

 

D-マンノースはクランベリーなどの植物に 含まれる自然に存在する単糖類です。

消化管からゆっくり吸収されたD-マンノースのほとんどは 代謝されずに腎臓から濾過され尿とともに膀胱に運ばれます。 膀胱に運ばれたD-マンノースは、膀胱に侵入してきた大腸菌と結合し、膀胱の膜に結合しようとする大腸菌の働きを抑制する(大腸菌による感染予防)ことはがすでにこれまでに分かっていました。

 

一方でこれ以外のD-マンノースの作用はわかっていませんでした(今回の研究でこれ以外の新しいD-マンノースの作用を明らかにしました)また、D-マンノースはほとんど糖質代謝に影響がないため、血糖値にも影響を与えないことはこれまでに分かっていました。なぜ、この研究成果(論文)が世界最高の雑誌に取り上げられたのか?の理由の以下の2つです。

 

一つは、

「糖は一般に高血糖を起こし、体に悪影響を与えるが、糖の中でもD-マンノースだけは、特殊な糖で、血糖を上げず、さらに炎症も抑えることができる」

 

もう一点は

「D-マンノースという糖で持って高血糖の病気(=Ⅰ型糖尿病)を治せる」ことを発見したことです。

糖を食べたら血糖が上がりそうなイメージですが、むしろ高血糖の病気が改善する(血糖が下がる)というわけです。(理由がわからん??という方もおられるかもしれませんね。英語で良ければ論文みてくださいね。)本研究でD-マンノースの新しい作用を見つけ、糖質の研究に大きく貢献したことが評価されたというわけですね。めでたし、めでたし。